ポラリスを探して自習室2>冬のソナタ第6話 『忘却』

心で覚えてる人は永遠に忘れないのよ。(ユジンの母)

 ユジンと電話で話す場面です。美しい言葉ですね。

(マウメ ムドゥン サラムン ヨンウォニ イッチ モッタヌンゴヤ)

 (マウム)は心、(エ)は助詞「〜に」、(ムドゥン)は「秘める」という意味の動詞(ムッタ)の過去連体形です。はパッチムで終わる動詞の語幹(つまり「」のこと)について過去を表す語尾です。……文法の話はおもしろくないですね。軽く流すことにしましょう。つまり、で「秘めた」となります。全体としては「心に秘めた」ですが「心で覚えてる」と訳されていました。

 (サラム)は人、ここでの(ウン)はパッチムの後につく助詞「〜は」です。次の(ヨンウォン)は「永遠」の韓国読みです。もしここにFin.K.Lファンの方がおられれば、この単語はよくご存知でしょう。「永遠」の後についている(ヒ)は副詞化する接尾語……難しいですね。要するに「〜に」だと思ってください。ただ、助詞の「〜に」とは別のものです。こんな話ばっかりしていると、なんか中学校の国語の授業みたいですね。「〜に」はもうやめましょう。

 今度は動詞です。「忘れる」を韓国語では(イッタ)と言います。何の関係もありませんが、発音だけ聴くと「ある」という意味のと同じですね。文字で見るとパッチムが違いますが…。話が少しそれたようですが、の語幹、つまり日本語的に言うと「忘れ」に、日本語の「られない(不可能)」にあたる(チ モッタダ)をくっつけると、(イッチ モッタダ)「忘れられない」と組み立てることができます。でひとまとめにして「〜できない」と覚えましょう。

 ここで注意しなければならないのは発音です。パッチムののあとにが来ると二つ合わせての音になります。一気に両方の音を出そうとした結果、そうなったのでしょう。ここは素直にこの音変化を認めてください。それから、ふりがなを見ると「ッタ」と書いてあるので濃音なのかと思った方もおられるかもしれませんが激音です。ふりがなは、あくまでも雰囲気でしかありません。あまり当てにしないでハングルを見てくださいね。

 あとは(ヌンゴヤ)だけですね。これは意味を強める語尾です。「〜なのだ」と断定するときに使います。これは、ユジンの母がユジンに言った言葉なのでくだけた言い回しになっていますが、「〜なんです」と言いたい時は(ヌンゴエヨ)を使います。

 さらに補足しておくと、(ヌンゴヤ)は、 (ヌンゴシヤ)がもとの形です。それが発音しやすいように変化したのでしょう。はじめの(ヌン)は動詞の語幹の後につく現在連体形です。(イッチ モッタヌン)で「忘れられない…」ですね。(ゴッ)は「もの・こと」という意味があります。そして、最後の(ヤ)は関西弁の「〜や」と同じです。つまり「忘れられへんもんや」と言っているわけですね。

 今回は文法的な話が多くなってしまいました。おもしろくなかったかもしれませんね…。