東海(後編2)

東海市内。ものすごい数のリンゴ・・・


写真

(使用機材) SONY α700 + Vario-Sonnar T* DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA (SAL1680Z)


8日目 東海(後編2)

宿へ一時退却し、近くの食堂に入った。ゆっくりと味わいながら…と思ったのだが、店のハルモニ※22曰く

「あらら、ご注文の純豆腐※23がないわ。ミアネヨ(ごめんね)。」

え?…あぁそーですか(^^;。じゃあカルビタン※24で。しかし、第2のメニューがあまり美味しくない。ハズレか…ま、どーでもいーや。韓国人的なケンチャナヨ精神※25…かどうかは知らないが、適当に流して、今日は日の出が見られましたよ~などと雑談する。ところが、こちらが日本人と知ってか知らずか、今の時代の人は大変だねぇ、周囲の要求や期待が多すぎて・・・と、ハルモニの話が始まる。

いや、ちょっと待って。あんまり難しい韓国語は分からないのでお手柔らかに…内心焦りながら話に集中する。もはや昼飯の味どころではない。ただ、内容は非常に共感できるものだった。およそ10分にも及ぶ聞き取りテストを要約すると

「私たちの世代(昔の人)は、食べ物があること、服があることに感謝して生活していた。生活することが出来ればそれで良く、みんな我慢強かった。それが、現代の子供や若者たちは、勉強だ出世だと親の望みは次から次へと生じて、今ある物・状況に気づかず、どこまでもキリがない。少しの我慢で生きていけるのなら、それで十分のはずなのに…。」

“アンタッカプタ”という単語が何度も出てきた。

アンタッカプタとは・・・

1.(人の苦痛や哀れな境遇などを見て)不憫だ・気の毒だ・哀れだ
 2.(思うようにならないので)もどかしい・いらいらする・じれったい
 NATE.comの日本語辞典より引用。

“アンタッカプタ”かどうかは人それぞれなのだろうが

「“無い”ことに不満を持つのではなく“有る”ことに感謝する。」

幸福も不幸も、相対的なものである。ならば、この考え方で随分世の中の価値観が変わるであろう。全くもって、自分も同じ事を常に意識しているので、見かけ上の文化や言葉が違っても人の心には共通語が存在するのだと、温かい気持ちになった。結果的に、良い食事の時間を過ごせた。


※22 ハルモニ…“おばあさん”の意。地方によってはハルメと言ったりする。
※23 純豆腐(スンドゥブ)…文字通り豆腐だが、日本の豆腐のように四角く固めておらず、非常にやわらかい。
※24 カルビタン…タンは漢字で書くと“湯”。つまり、牛カルビなどを煮込んだスープ。
※25 ケンチャナヨ精神…ケンチャナヨは、“大丈夫・ノープロブレム”の意。一般に、細かいことを気にしない韓国人の国民性を表す語として、しばしば用いられる。


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