ポラリスを探して自習室2>冬のソナタ第7話 『冬の嵐』

世界はあたたかくて美しいのに孤独に生きるつもりですか。(ミニョン)

 春川(チュンチョン)の湖の前でミニョンはユジンにこう言っていました。


(イロケ ッタットゥッタゴ アルムダウン ゴスル ナドゥゴ ホンジャ ケーソッ ウェロッケ サルコニャゴヨ)

 韓国語は簡単で覚えやすいのに日本語で冬のソナタを見るつもりですか。(爆)

 さて、真面目にやりますか…。は一つ前の台詞でも出ましたね、「このように」です。(ッタットゥッタダ)は「あたたかい」で、気候が暖かいときも、心が温かいときも、この単語を使えます。発音を見ると、濃音・濃音・激音と続いてこの単語のどこが「あたたかい」のか、と思ったりもしますが、特に最初の濃音を発音できるように頑張って練習してください。(ゴ)は並列を表す語尾で「〜て・〜で」と訳します。

 「美しい」は韓国語で(アルムダッタ)ですが、ミニョンの言葉では(アルムダウン)になってますね。が最後についているところをみると連体形だろうと予測はできますが形が少し変ですね。これは不規則変化が起こっているのです。日本語でも英語でも規則どおり活用しない偏屈な動詞がありますが、韓国語でもやはりそういう単語が存在します。もちろんこの場合は形容詞です。このように語幹がで終わるものの多くは、連体形になるとに変化します。は「ところ」、は助詞「〜を」です。

 (ナドゥゴ)の最後のは、さっきも出てきた並列を表す語尾です。元の形は(ナドゥダ)で、(ノアトゥダ)が縮まった形です。「置いておく・ほったらかしておく」という意味があります。例によってを分解してみましょう。この単語は「置く・放す」を意味する(ノッタ)と、「おく」を意味する(トゥダ)がひとつになったものです。は、まさに「おく」にあたる言葉で、動詞として「ものを置く」、補助動詞として「〜しておく」、と日本語の感覚で使える単語です。

 この二つの単語を、「〜して」という連用形を作る語尾で繋いでいます。そのまま訳せば「置いて おく」あるいは「放って おく」となるはずです。ここまでをまとめましょう。「こんなにあたたかくて美しいところを放っておいて」となります。こうやって見ると吹き替えの日本語は随分意訳されていますね。きれいな訳でいいですけど。

 (ホンジャ)は「ひとり・ひとりで」、(ケーソッ)は「継続」の韓国読みで「ずっと」と訳します。また、「継続」が次の単語との連音化で、「ケーソン(gesong)」と聞こえるかもしれません。で終わる単語の次にから始まる単語が来るとになる場合があります。

 (ウェロッケ)の原形は(ウェロッタ)で「さびしい」です。この語幹の後についているというのは、日本語的に言うと「〜い(形容詞)」を連用形の「〜く」に変える語尾です。意味は何だと聞かれても訳しにくいですね。余談ですが、の連体形も、語幹がで終わっているのでと同じパターンでとなります。

 (サルダ)で「生きる」という単語ですが、最後のひとかたまりはに分けるのが適切です。はちょっと不規則な動詞です。細かくは書きませんがが「生き」の部分だと思ってください。次も少し省略します。(第6話参照)の仲間だと思ってください。

 の代わりに(ニャゴヨ)を使うと「だから〜かと聞いているんですよ」という感情が入ります。なぜこのような言い回しになっているかは一つ前の台詞を見ないとわかりません。実はミニョンはこの台詞の直前に「ひとりでずっと寂しく生きるのですか」と一度ユジンに聞いています。で、今度はさらに「こんなにあたたかくて美しいところを放っておいて」という言葉を付け加え、もう一度繰り返して「ひとりでずっと寂しく生きるのかってことを言ってるんですよ」という気持ちを表現するためにを使ったのです。また、の最初がではなくになっているのは、「今寂しく生きているし、これからも…」と未来のことも含めるために「未来連体形」を使ったからでしょう。

 以上です。