東海(前編2)

湫岩海岸。夜明け前。水平線上に見える光は、太陽でも月でもなく、漁火だ。


写真

(使用機材) SONY α700 + Vario-Sonnar T* DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA (SAL1680Z)


8日目 東海(前編2)

少し話が前後した。さて、タクシーを降り、海へ出るとかすかに夜が明ける気配がある。慌てて三脚をセッティングし、1枚長時間露光している間にリモートコード等、必要なものをバッグから取り出す。その、準備中のショットが意外にも良く撮れた。狙っても撮れないのに・・・というパターンは、多々ある。日の出の時間が近づく頃、一昨日の静けさが嘘のように、カメラマンが蟻のように涌いてきた。もちろん、自分もその蟻のうちの1匹であることは自覚している(笑)。高台の門が開くと、我先にと良い場所を確保しようと急ぐのは日韓共通の光景だ。

この瞬間、これはダメだ・・・と思った。ここに来て、ベストショットを撮るまで帰らないぐらいの意気込みだったが、地元のオヤジ達は、知り尽くしているのである。どんな天気なら美しい日の出が見られて、この季節ならどの場所が良いのか、すべて知っているのだ。韓国で、あまり作品写真を撮っている人を見かけなかったので、これなら或いは・・・と企んでいたのだが、アマかったようだ。一昨日人が少なかったのも、皆ここの天気を知っていたからであろう。そう考えると、日本で地元の夜明け写真すら満足に撮れないよそ者が、ほんの1週間ほど来てベストショットを持ち帰るなど到底不可能である。

ならば、失敗の無きよう、確実に1枚収めて次の旅を楽しもう。しかし、わざわざ海外へ出てまで撮りに来た日の出にプレッシャーを感じないわけがない。3日間待って、いよいよ・・・という興奮と期待と自分の腕に対する不安。何とも表現し難い心境だ。刻々と明るくなっていく空を見つめる。やや水平線の上に雲が出ているように見える。完全な日の出の瞬間は無理・・・か?



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